『しんとく丸の栄光と悲惨 上方文化の源流を訪ねて 業縁と輪廻の世界』の装画を制作しました。
[著者:福井栄一 / 出版社:批評社(2021年11月 刊行) / 装丁:臼井新太郎]
書籍の内容
美少年しんとく丸は、継母の呪いで視力と美貌を失い、家を追われ、流竄の身となったが、恋人の愛と観世音菩薩の功力によって再生する。
この短くも激しい物語の種子は、日本の文芸の沃野で驚くべき成長を遂げ、天を衝く巨樹となって聳えている。
本書はその成長と観察の記録である。町辻や門口、祭礼などの場で、名もなき漂泊の民によって語られる門付けの芸、大道芸となった説経は、ささら、鉦、羯鼓などの鳴り物を背景に賑やかにしめやかに、語り手が熱をおびれば聴衆も固唾をのんで見守る大衆芸能へと変貌を遂げた。
Amazon書籍紹介文より
悲劇の美少年「しんとく丸」が問わずがたりに語る、母とは何か。愛とは何か。
心の眼で何を見るか。説経節が残した問いかけにあなたはどう答えますか!?
制作の詳細
説経節(日本の中世末から近世にかけて盛んに行われた語りもの芸能・語りもの文芸)の象徴的な演目の一つ「しんとく丸」の解説本である本書のブックカバーイラストを担当しました。
「主人公であるしんとく丸を描いてほしい」というご依頼を受け、しんとく丸の物語自体はおどろおどろしい話ではあるものの「装画は内容とは反対に静謐な画風の絵でいきたいので、あまり不気味な雰囲気にはならないように」というご要望をいただきました。
それをもとにラフを2点ご提案して今回の構図に決まりました。
表1に四天王寺の稚児舞の舞い手に選ばれた幸福だった頃のしんとく丸を、裏側の表4に義母の呪いによって失明し、業病を患って物乞いになる不幸のしんとく丸を配置し、しんとく丸の栄誉と悲劇の対比を意識して制作しています。
また、稚児舞の衣装は、実際の四天王寺の聖霊会で子供たちが踊る「童舞・胡蝶」の衣装を参考にしました。
イラスト制作データ
制作点数 | 装画1点 |
制作日数 | 約8日 |
サイズ | 天地240mm×左右350mm(制作サイズ) |
納品形態 | PSDデータ、CMYK |
- データは参考です。実際の制作時とは異なる場合があります。
- 制作日数は純粋な制作のみの日数です。実際の納期はこの日数にお打ち合わせやクライアント様の確認日数などが加算されます。